2011年7月19日 [ コラム ]

いよいよ考えないといけないパソコン以外のセキュリティ

日本でインターネットの商用サービスが始まったのは1991年であり、今年で20年目となる。一般家庭にインターネットの利用が拡大した要因はいろいろあるが、Windows95の発売も一つの大きな要因であった。Windows95が発売されたのは、その名のとおり1995年(11月)。このOSにはインターネットへ接続するための環境が標準で搭載されており、この頃から一般家庭においてもインターネットへの接続が比較的容易に行えるようになったのである。
今でこそパソコンはインターネットに接続して利用するのが当たり前となったが、1995年以前はネットワークにはほとんど接続されずに使われていた。筆者も一応パソコンを持っていたが、使い道と言えば買ってきたゲームをやるか、年賀状の住所録を管理するのが関の山であった。インターネットの出現とともに、パソコンの利用シーンは大きく変貌を遂げたわけであるが、それと同時に情報セキュリティという新たな分野ができたのだといえる。
一方、ここ数年インターネットへのアクセスはパソコンだけではなく、携帯電話やテレビ、ゲーム機など様々なデバイスでの閲覧が可能となり、その性能も日進月歩で向上している。特に最近話題となっているのはスマートフォンであり、通勤の電車の中などでは半数以上の人がいわゆる従来の携帯電話でなく、「スマホ」を使っているように見受けられる。すでに「スマホ」に感染するウィルスが登場しており、いったん感染すると「スマホ」に保存してあるアドレス帳などの個人情報を盗むといったような悪さをする。「スマホ」の情報セキュリティ対策が急務であるのは確かだが、正直なところ、「スマホ」は「新しい形をしたパソコン」という捉え方もできるので、それに感染するウィルスが登場すること自体はそれほど大きな驚きではない。
むしろ筆者が本当に脅威を感じているのは、プラントなどの産業機械を標的にするウィルスが出てきていることである。具体的には、モーターの回転数をコントロールする周波数変換装置を備えた工場制御システムがターゲットになったという事例などがある。もし、モーターの回転数がウィルスによってコントロールできなくなったとしたら・・・・大学で電気工学を学び、若い頃は工場でモーターなどの生産機械のメンテナンスをしていた筆者としては、大きな脅威を感じざるを得ない。生産機械をコントロールするプログラムがウィルスによって誤作動したら大きな事故に繋がりかねないと、容易に想像できてしまうのである。

閉ざされたネットワークの中で利用されていたシステムがオープン化され、インターネットに接続されるケースが増えていく。これと同時に情報セキュリティについても、十分な対策が必要になってきていると改めて感じている次第である。
次回は『報道されるUSBメモリ紛失』


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